「オレ…」

なぜか急に思いついた。

「オレ、医者になる。だから、待ってて。」

なんでそんなこと言ったのかわからないけど、とにかく柚希ちゃんに笑ってほしくて。

ただそれだけだったのかもしれない。




でも、退院してからも医者になりたいって思いは心のどこかに残ってた。

それから、

柚希ちゃんのことも。




「…うそだろ?」

教壇に立って紹介される彼女の姿を見たとき、夢かと思った。

色白で、目がクリっとしてて、小首をかしげるクセはそのままに、スラリと成長した姿。

あれから何年もたってるのに一瞬でわかった。

「明日葉 柚希です」

初めて会った時の気持ちと変わらない。

運命なのかもしれないって本気で思ったんだ。