柚希ちゃんって名前を知ったのはこのとき。


「だれ?」

「2つむこうの部屋にいる子。オレ達と同じ3年だよ」

「もっとヒントくれよ」

「えー?また明日教えるって。あ、やべっ。見回りの時間だ」


海斗はそう言ってカーテンを閉めた。

どんな子なんだろう…。

色々考えを巡らせながら眠りについた。


翌朝、

また息苦しくなってきて、結局昼すぎまで寝たままだった。

そこに海斗がやってくる。

となりには女の子。


「りつー、大丈夫かー?」


一瞬でわかった。

この子が例のゆずきちゃんなんだって。


「なに死にそうな顔してんだよ」


ケラケラ笑う海斗。

だって今朝もマジで死ぬかと思ったんだって。


「もー…海斗だって苦しいときあるでしょ。そういうこと言わないの。ごめんね?えーと…」


首をかしげながらこっちを見る大きな目。

…ヤバい。かわいい。

海斗が好きだって言ってたけど、こういう気持ちが好きってことなのかって、今気付いた。


「…りつ。みちしげ りつ。」

「りつくん?じゃあ、りっちゃんね」


りっちゃん。

そう呼ばれて、顔が熱くなる。

こんな気持ちになるなんて。

海斗にバレないようにするのに必死だった。