道重くんを見上げた。

どきどきしてる私とは対照的に
やさしい笑顔。


「…ほんとに私でいいの?」

「やっぱり嫌だ。
 って言ったらどうすんの?」

「えぇっ???」

「うそ。いいに決まってんだろ」

「またそうやって私のコト
 からかうんだから…」


ほんとに?

ほんとにいいの?


「…こんな私だけど、
 お願いします…」


これが、私の精一杯。

はじめての本気の恋だから。



道重くんが
ポツリと言った。

「やべぇ。
 絶対ムリだと思ってた
 初恋が叶った」

「…へ?」


はつこいって…

初恋って…

もしかして…?!




「実は8年前から好きでした」

「…ほんとに???」

「なのに明日葉
 オレのコト忘れてただろ?」

「うそ、ごめん!」

「そりゃ必死にもなるよ…」

「ごめんって!」



しっかり者のりっちゃんは、

一人でお外を見るのが好きな
ゆずきちゃんのことを、

子供ながらに「守りたい」って、
そう思ったんだって。


「じゃあ、帰りますか」


また、自転車が走りだす。