…ほんとに?

今のセリフ、

ほんとに?

聞き間違いじゃないよね?


「でも…」


信じられなくて
思わず口を突いて出たのは
否定の言葉。


「道重くん…
 彼女…いるんでしょ??」

「彼女にはもう話したんだ。
 オレ、ほんと嫌なヤツだと思う…」


道重くんは心苦しそうに言った。


「彼女とは中学から付き合ってて、
 気が合うし、ちゃんと好きだった。
 でも、高校離れて、距離もできて…」


じりじりと暑い

炎天下の中。

道重くんの必死さが更に暑くする。


「明日葉は、なんていうか…
 別の次元で好きっていうか…ごめん。
 まとまりなくて」


私も好きだけど…

でも、言えない。



「こんないいかげんな男、
 信じられないだろうけど…
 信じてもらえるように、頑張るから」


道のむこうから

バスが来るのが見えた。