落ち着いてから
病棟の部屋に移る。

不整脈は止まったけど
まだ気持ち悪い気がする。


「…ゆずちゃん、
 だいじょうぶ?」


ちいさい顔なじみが
おずおずとやってくる。


「はいはいっ!
 みんな院内学級の時間でしょ!
 行った行ったー」

「はぁーい…」


看護師の佐伯さんの一言で、
一気に静かになる病室。

…もうやだ。


「柚希ちゃん、大丈夫?
 吐き気おさまった?」


小学生の頃からずっと
担当してくれてる佐伯さん。


でも、

今話す気力もないよ…。


黙ってたら
そっと背中さすってくれる。


そしたら、

なんか安心しちゃう。

で、

反省する。


「大人げないよね、私…。
 わーってなっちゃった…」

「大丈夫よー。
 あの薬よく効くんだけどキツイよね。
 大人の男の人でも騒ぐ人いるからw
 がんばったね」


佐伯さんは優しい。

そして、ちゃんと厳しい。

下手に同情したりしないし。

だから信頼できる。