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そんなこと言っても、
なかなか機会もなくて。

いつのまにか
期末テストはすぐそこ。

かなり不安な数学は、
私だけじゃなくみんな不安らしい。


「先生の教え方の問題じゃないの?」


時々出る里穂の毒舌。

その可愛らしい顔で言うから
強烈に聞こえるよ…。


確かに、
ここ最近はペースが速くて
ついていくのに必死。

そこそこの進学校って
言われるウチの学校。

先生だって必死なのだ。


そこで頼りになるのは…


「道重ーっ!
 頼む、答え写させて!」


飴に群がるアリか、
肉に群がるハイエナか。。。

『奇跡の道重ノート』によって
ウチのクラスは救われる。


キレイとは言えないけれど、
まっすぐに整然と並んだ
道重くんの字。

性格現れるなぁ…。

私なんて、
まとまりがない上に
気分によって字が変わるし。


「おい、
 なんでこんなところまで
 オレのノート回ってんの…」


呆れ顔の道重くん。


「ごめん、勝手に見ちゃってる」

「…オレ字汚ねーのに…」


…あれ?

なんか、照れてる?

ちょっとカワイイかも。