「道重くん教えるの上手いね。
 学校の先生になれば?」

「ん?…あー…」


思いつきで言ったのに、

私のその言葉に
道重くんは少し考える。

そして、

まっすぐな目で私を見て言った。




「オレさ、医者になりたいんだ」




思わぬタイミングで

道重くんの夢を聞いてしまった。

しかも、

かなり真剣な目。


「明日葉は
 忘れてるかもしれないけど
 オレも昔は喘息で
 よく病院行ってたんだよ」


喘息だったんだ…

忘れててゴメンナサイ。


「今は全然元気で
 発作も小学生以来ないんだけど。

 でも、
 人生で初めて入院した時のことって
 強烈に覚えてて。

 だから、

 …明日葉を含めて
 忘れたことなかった」