heart to heart ふたりのキセキ

今でも
鮮明に思い出す。

出会ったときのこと。

高校のころ、
自転車に乗って
夕暮れを帰ったこと。

病室で話したこと。




柚希が
この世を去ってから、

もう1年が過ぎた。




柚希の望んでいたような
すごく幸せな最期だった。

不可能だと思われていた
子供も授かった。

世界初の快挙!とか
新聞に載ったりしたけど。

いたって普通の
しあわせな家庭だった。

愛し合い、

時にはぶつかり、

理解し合いながら。

そんな普通の生活が
柚希にとっては宝物で、
毎日が小さな幸せで
溢れていたらしい。

当たり前のことが
こんなに素晴らしいなんて。

柚希に出会わなければ
知らなかった。


「父さんホントに
 一人で大丈夫?」


来月から、
そらは全寮制の
私立中学に入学する。

小6の息子に
一人暮らしを
心配される父親って…;


「5月の連休には
 帰ってくるんだろ?」

「たぶんね。
 部活があるかも
 しれないけどねーっ」