「律は…
 手術うけてほしい?」


手術を提案した張本人。

その答えは意外だった。


「…わからない」


手術を受けるか、
手術を受けないか。

どっちが良いとか、
その答えは
どこにもないと思う。

答えを握るのは、
神様と私だ。


「あのね…」


本当は、
律がアメリカに発った時
すでに答えは決まっていた。


「手術、受けたい」


諦められなかった。

少しでも長く、
この世にとどまりたい。

未来を信じたい。


「柚希…なんで…!?」

「ママごめんね。
  
 それに、私は実験台に
 なってもいいと思う。

 もし不幸な結果に
 なったとしても…

 その経験がまた、
 私と同じ病気の子たちで
 将来役立ってくれたら
 それでいいと思うから」


ママに口癖って言われたけど
そう信じていたい。


「きっと大丈夫だから」


律は初めて
私の前で泣いた。
 
このときのことは
一生忘れないと思う。