「律が…引き止めて…
 くれたんだよね…?」


引き止めるって…

オレ、何もしてないし;

むしろ何もできなくて、
落ち込んで、
仕事も中途半端で。

急変したあの日、
足手まといになりそうなくらいに
頭真っ白だったし…;

反省してたら、
柚希はオレの手を強く
握り返して言った。


「…きこえたの。
 律が…私を呼んでくれてる声…」

「え?」

「戻って来いって…
 言ってくれたでしょ…?」


記憶は定かじゃないけど、
言ったような気も…


「…ありがと。
 律が呼んでくれなかったら
 私…引き返せなかったかも…。」


そして、続けて言った。


「ありがとう、だいすき…」


柚希が生きたいって
思ってくれるなら
オレはその力になれるように
全力投球したい。


「絶対良くなるから」

「うん…」

「だから、
 一緒にがんばろうな?
 オレも頑張るから」


柚希はしっかりと頷いた。

今手の中にある
かすかな希望に
賭けてみたいんだ。