うそだろ…?

一気に血の気がひいていく。

柚希の部屋の前に
人だかりができていて、

先に到着したスタッフが
慌ただしく処置をはじめてる。


「道重先生っ!!
 柚希さんっ…急に脈が落ちて…」


わけがわからない。

今朝笑ってたじゃん?

キスしたじゃん?


「道重!気管内挿管つけ!」


心臓マッサージされてる
柚希はぐったりしてて…。


「道重!」


もう、

何も聞こえない。

解剖実習のときと同じだ。

成長してねぇなー…オレ…。


「みちしげっ!!!」


思い切り頭殴られる。


「お前が
 助けるんじゃねーのかよ!?」


大学から同じだった
研修医の伊崎。


「挿管オレがやるからっ、
 お前心マ代われ!」


もう、

なんか頭混乱して、

わけわかんねぇけど、

とにかく必死に続けた。


「柚希さん!
 絶対大丈夫だから!
 絶対助けるからな!」


そんな伊崎の声が響く。