「オレ今からオペ入るけど…
 なんかいるものある?」

「今のところ大丈夫!
 それに売店まで行けるし!」

「…そうか?」

「手術、頑張ってねー」


できるだけ明るく振る舞う。

心配性な律だから。

すぐそばにいるからこそ、
律の仕事のジャマに
なっちゃいけないって気を使う。



入院して5日目。

不整脈から来てしまった
心不全の症状が出始める。

苦しい。

地上にいながらにして
溺れそうになってる。

じっとりと嫌な汗が出る。

もうこうなったら
強がりも言えない。

てゆーか
しゃべる気力もない。

横になって寝られないから
テーブルにもたれかかって、
じっと座ったまま。

足がしびれる。

でも、
どうしようもなくて
…ただ、耐える。


夜、当直の律が
隙を見て来てくれた。


「…大丈夫か?」


大丈夫って言えなくて
仕方なく苦笑い。



すぐにまた救急から
呼び出されちゃったけど。

同じ建物の中、
近くにいるってだけで全然違う。

頑張ってねって、
ばいばいする。