日が暮れて来て、
気分転換ついでに
柚希を家まで送る。

明らかに疲れてそう。

「…休むか?」

そう言ったら柚希は
急にシャンとしてる。

「平気!!
 律は心配しすぎだよ」

「だって、心配するよ」

「元気だもん。ここ数年
 カゼもひいてないよ?」

そうじゃない。

絶対にやってくる、
柚希の心臓の限界。

いつかはわからないけど。

その時期が近づいてるのは
目にも明らか。

柚希を送り届けて
またアパートへ引き返す。

後ろから声が聞こえたと
思ったら、ベランダから
柚希が手を振っていた。

ずっと一緒にいられたら…

軽く右手を上げて
手を振った。

君を失いたくないんだ。

ずっと、
オレが死ぬまで一緒にいたい。

大げさでも、
冗談でもなくて、
本気で思うんだよ。

絶対に国家試験受かって、
大学病院に就職して、
ちゃんと君を守れる男になる。

そしたらさ…

柚希の時間を
オレも共有したい。

大切な一瞬一瞬を。

この提案を
飲んでくれるだろうか?

一世一代のプロポーズまで
もうあと少し。