heart to heart ふたりのキセキ

律が部活終わるのを
教室で待っていた。

「なんだ、今日は先に
 帰ったのかと思ってた。
 雪降りそうだし早く帰ろう」

いつもはすぐ立ち上がって
一緒に帰るんだけど。

座ったままの私。

律は仕方なくやってきて、
私の前の席に後ろ向きに座る。

「どした?」

「…城東医大ってホント?」

「岡っちから聞いた?」

そう言って照れくさそうに
首の後ろを掻いた。

「城東の偏差値、
 あと10も足りないんだ。
 模試の判定もEだし」

頬杖をつきながら
はぁ~ってため息。

「…どうして?
 北見大ならここから近いし、
 岡っちも太鼓判押してた」

「そうだなぁ、でも…」

「でも?」

「国内だと城東が
 心臓外科で有名だから。
 それに、柚希の病気を
 治したいって思ってるのは
 本当のことだよ」

泣きそうだ。

なんでそこまで?

「…だめだよ律」

「なにがダメ?」

「私のせいで…
 私のために律の人生を
 決めちゃうなんてダメ!」

静かな教室に
私の声が響いた。

「そこまでしなくていい…
 海斗や私の病気がきっかけで
 お医者さんになろうって
 思ってくれたのは嬉しいけど、
 そこまで人生かけないで…」

律の人生なのに…

私は律との未来を
想像できないのに…。

もしかしたら、
律が大学を卒業するまでに
死んでるかもしれないのに…。