けれど、律は
ため息をついた。

「でもさぁ、
 岡っち(担任)が
 “厳しいなー”って」

「えぇぇ!?
 全教科90点以上でも!?」

「全国レベルだと
 中の上くらいだろうな」

それじゃあ…
私なんてどうなるの!?

やっぱり数学は苦手で、
この前の実力テストは
まさかの27点。

もう笑うしかなかった。

ちなみにそのテスト、
律は91点だった。

ホントに同じ問題!?

「柚希は?出したの?」

「…んぇ!?」

「調査票だよ」

「ま、まだ…」

大学に行くことさえ
考えてなかったことが、
なんとなく恥ずかしい。

「来週までだろ?」

「そうなんだけど…」

「テキトーに書いて
 出しとけばいいって。
 どうせクラス替えの
 参考にするだけだろ?」

…え?

な、なんて?

「クラス替え!?」

「そりゃそうだろー
 4月には理系文系に
 分かれるから…」

「えぇぇぇ!!
 そしたら完全に
 律とは同じクラスに
 なれないじゃないの!?」

「そうだね。
 柚希は文系じゃん?
 どっちかっていうと」

そんなにアッサリ?

悲しいとか、
寂しいとか、
全然ないわけ!?

「私も理系に行きたいな」

「それ、岡っちに言ったら
 本気でバカにされるよ?」

って言いながら、
律は私をバカにしてるし…。