『ありがと…』
スプーンを
手渡すと
泣きそうな声で
礼を言われた。
ごめんな。
何もしてやれないで。
―――――
―――
『ごちそうさま。』
「ごちそうさまって
何口しか
食ってねえじゃん。」
『もう いらない…』
「柚夏…」
「じゃあ
アイス食う?」
『佑?』
突拍子のない事を
言ったのは
いつの間にか、
病室の入口にいた
佑。
「お前…アイスって…
仮にも、
医者の前だぞ。」
「でも、アイスって
カロリー高いし、
何も食わないより
まし じゃないっすか?」
「特別だぞ…?」
俺が渋々だったが
許可をすると
「よかったな。
柚夏!」
柚夏の
頭を撫でながら
言う 佑。
『うん♪』
柚夏の微笑んだ顔。
心からの笑顔では
なかったが
久しぶりに
笑った顔を見た。

