「熱、計った?」
食器を
ベットに付属している
ミニテーブルに
置きながら
尋ねる。
『計ったよ。』
そう言いながら
渡された 体温計を
見る。
「37.5゜か…
まぁ 平気だろ」
『うん。大丈夫ー。』
「早く、飯食え。」
『……。』
いきなり、
黙って
下を俯く 柚夏。
「柚夏?」
『…………
箸………………。』
そう呟き、
視線を
食器の上に
おいてある
箸へと向ける。
柚夏、右利きだよな…
「ごめん。
気づいてやれなくて
スプーン、
持って来んな」
俯きながら
悔しそうに
頷く 柚夏を
見て、またひとつ
心が傷んだ。

