期待したあたしがバカだった。
忘れてた。
皇ちゃんは天然だった。
「だから絶対紹介して!今週の日曜日俺ん家に連れてこい」
「だから無理だって!!」
「無理?…嫌じゃなくって?」
そう言って勝ち誇ったような笑みを浮かべた28のおっさん。
「いいよ!日曜日連れていくよ!!!たっくんにも連絡しとくし!!」
「たっくんによろしく言っときなよ?」
誰だよ、たっくん。
ヤバい。
ついに架空の人物まで作り上げてしまった。
「もう帰る!!」
「送る」
「いい」
「だめ」
「だから…!!って、おろしてよっ!」
ひょいっと持ち上げられてしまった。
俗に言うお姫様抱っこ。
