廃棄場所に真央を連れてきた。


真央には合わない場所だったが、隠れられる場所はここしか思い浮かばなかった。


「……大丈夫か?」


かなり走ってきたため、真央は咳込んでいた。

それもあるが、渉は真央が怪我でもしてないかと不安だったのだ。


「だい、じょぶ…平気……」


弱々しく笑う。


そんな真央がとても小さく見えて、渉は真央を抱き寄せた。


「俺、真央を守るからって言ったのにな…」


危うく守れないとこだった。


「渉くんはわたしを守ってくれたじゃない」


それでも真央は強がってそう言う。



震えているのがわかる。


また強く、抱き寄せる。


「もう一人にはさせない」

渉は言った。


「俺が絶対、守るから」


ありがと。


真央は何も言えず、心の中で呟いた。