もうダメだと思い、
あこちゃんに助けて!
と目で合図しても、頑張って!
と口パクで返ってくるだけで、
助けてくれない。
もうダメだ…っと思っているとき、
手を差し伸べられてきた。
――……誰?
一瞬考えてしまったけど、
そんな迷いはすぐに消えた。
だってこの手は…。
顔を見なくてもわかったけど、
確認するように上を見上げる。
「何やってんだよ。
大丈夫か? ほら」
ほらやっぱり、慧吾だった。
「うん…。ありがとう」
慧吾の手をとって、
ゆっくりと立ち上がる。
きっと、今しかない。
あこちゃんの方を見ると、
行けっいうGOサインが出ている。

