「椎菜は音楽が好きだったからな。
…でも、何もしてやれなかったな」
お父さんは、申し訳なさそうにして、
あたしの頭にポンと手をおいた。
…あたし、お父さんにそんな話
1度もしたことなかったはずなのに。
「友達はできたのか?」
「えっ…? う、うん…」
「そうか、どんな子だ?」
「とっても可愛い子だよ?
でも見かけによらずパワフルで、
とっても面白いよっ」
「ははっ…。
楽しそうだな。
――……月に1度は帰って来ること。
この条件、守れるよな?」
「父さん?! 本気か?」
条件――……。
その条件を守れば、
寮に入ってもいいってことだよね?
「うんっ! もちろんっ!!」

