「ああ。
いきなりのことで
驚いてしまってな…」
頭をポリポリとかきながら、
近くにあったソファーに腰を下ろす。
「父さんも反対だよなっ!
寮に入るなんて」
あっ、きったな!
お父さん味方につける気だっ。
「お父さんっ、いいよね?」
お兄ちゃんに負けず、
あたしも少しうるんだ目で訴える。
お父さん、この目に弱いんだよね。
「―――……。
許すよ……」
「「…え?」」
お兄ちゃんとあたしの声が
きれいにそろう。
「椎菜、寮に入りなさい」
「えっ?! いいのっ?」
お父さんの言葉に、
身を乗り出して聞き返す。

