「…というわけでだな」
親父は自分の中で俺に言い終わったのか、なぜか納得したように言う。
コイツはコレも多い。
説明してないのに説明した気になって、まわりはポカンとしているのに自分だけやりきった雰囲気にするのだ。
まったく、なんでこんな奴がトップなんだよ。
「まぁ、お前も知っての通り、ワシには唯一無二の竹馬の友がいるんじゃがの。そいつ、ちょっと前に事故で亡くなってしもうての…」
ああ、それは知ってる。
親父がわんわん泣いて一週間くらいここで働いてるヤツに迷惑かけたんだよな。
たしか交通事故で、そのとき一緒に乗ってた妻も一緒に他界したとか……。
「まぁいろいろあって……。そこでだ、そこの娘さんは身寄りがなくての、お前の家に住まわすことにした」
「…………は?」
え、ちょ、待て。
ちょ…まじで?
「ま、頑張れ」
えええええええー……
親父は俺の肩をポンと叩くと、実はさっきからいた存在感の薄い親父の秘書、山口さんと部屋から出ていった。
は、ちょ…まじっすか?
急過ぎてわけわかんねぇよ……。