約一週間前。
俺はとあるビルの最上階の一室に呼ばれた。
「なんですか、お父さん」
壁いっぱいをガラス張りにし、それを背景に大きな椅子に座っている親父がクルリと椅子を回してこちらを向いた。
「『なんですか』じゃなかろーに。それにお父さんじゃなくてパパと呼べ」
いかにもこの業界のボスって感じのイカついツラした男にそう言われると、虫酸が走ってしまうのは俺だからだろうか。
「……遠慮します」
「つれないのぉ」
俺はこんな親父を持ったことが恥ずかしくて死にそうだ。
パパってなんだよ、パパって。
親父って呼べ…とかならまだしも。
パパって……。
「まぁ早速本題に入るとして……。尚人、お前も社会人になって4ヶ月。自分の家も持ってることだし、仕事も落ち着いてきた頃だろう」
「……まぁ、そうですね」
いったい何が言いたいんだ?
昔っからコイツは急に物事を進めたり、言わずにしてやらすっていう無理強いが好きな自分勝手やろうだからな。