「さあ、お嬢様、そろそろお時間でございます」


ポケットから伸びる鎖は重厚な懐中時計を繋ぎとめていた。

これも、恵理夜から贈られた特別な懐中時計だ。


「ええ、行きましょう」


と、靴に足を通そうとした恵理夜に、春樹は背後からそっと椅子を押した。

自然と、恵理夜はその椅子に座らされてしまう。