「あっ」


その笑顔に見とれたのか、春樹がステップを踏み間違え、恵理夜の足を踏んでしまった。


「も、申し訳御座いません」


――恵理夜は声を上げて笑った。

それに釣られるように、やや困惑しながらも、春樹は微笑んだ。


――曲が終わる。


「……楽しかったわ」


溶けるような、柔らかな笑み――春樹にとっての最上の褒美だ。


「貴女の為ならば」


春樹はそっと、その右手の甲に唇を寄せた。