春樹――そう呼ばれた青年は、完璧な所作で頭を下げた。

その姿はまさに執事と呼ぶにふさわしかった、

そして、その服がまた素晴らしいものだった。

普段は、レギュラーカラーのシャツだが、今日はよりハイトーンのウィングカラーシャツにアスコットタイを締めている。

長身の彼に合わせて誂えられたシングルのディレクターズスーツだ。

青年は、ポケットから伸びる鎖に手をかけた。