「見苦しいところをお見せしてごめんなさい。薔薇に夢中で、周りに気を払ってませんでした」


立ち上がった少女は、両手を体の前で重ね、本当に申し訳ない、と言うように丁寧に一礼した。


「いえ、こちらこそ気づかなくて。本当に御免なさい」

「そちらは怪我とかしてませんか?」


恵理夜は、自分の右手を抑えながら微笑んだ。


「ええ、大丈夫です」


相手を安心させるように、ゆったりとした笑み。


「良かったぁ。せっかく綺麗なドレスなのに、土がついたりしたら悲惨ですもんね」


と、無垢な笑顔で素直に安心を示す少女。