垣根の曲がり際に、死角から飛び出した少女とぶつかったのだ。

恵理夜よりやや年上だろうか、ドミノマスクさえなければ、日本人形のような容姿の少女だった。


「い……っ」


尻餅をつき、苦痛を素直に表情に出せるその姿は、その少女の無垢さを現しているようだった。


「御免なさい、お怪我は……」

「夏夜っ」


手を差し延べようとすると、垣根の死角から、少年が飛び出してきた。


「ないみたいです……大丈夫」


と少年の方をちらと見ながら、少女はこちらを心配いらない、と言うように微笑んだ。

零れ咲く花の咲くような笑みに、恵理夜は息を飲む。


「すみません……ほら、大丈夫? 立てる?」


少年は恵理夜に小さく謝罪しながら、少女に手を差し延べる。


「立てるけど、エルくんの力借りる」


差し延べられる手に、素直に甘える少女。

恵理夜は、ただ立ち尽くすしかなかった。

羨望の眼差しのまま。