いつのまにか、あたしは気球に乗せられ
籠には何故か色とりどりの花が敷き詰められている。
なによなによ!もう、
シチュエーション、ばっちりじゃない!!
「返事は?アオチュリーナ……」
青い瞳が、誘うように甘く揺れる。
ミラノの夜空に浮かんで
花背負って、プロポーズ?
――…ズルイ。あたしが、断るなんて、思ってもないくせに……
「も……」
「………え?」
「持ってけ!ドロボーーー!!!」
「クスクス… いや、元々泥棒なんですけどね…じゃ、遠慮なく…」
「…って…わーー!!!キスはダメっ!!!」
「どうして?」
「見世物じゃ、ないも………」
「――…聞こえないな。」
「………/////」
――…こうして、ミラノの夜は更けてゆく。
「―――…行っちゃいましたね…」
「―――…遅かったね…」
「アオチュリーナぁぁぁ…」
気球からこぼれた花びらが、空を舞う。
残された探偵団は
石畳に立ち尽くし
気球の見えなくなった空を見上げて、空しく呟いた。
――――――――――…



