キリストを中心に据えた
めくるめく疑惑と混乱の図を前に
あたしとブルータスは、静かに向かい合う。
裏切ったのはどっち?
騙されたのはどっち?
あたしは――――…
「アオチュリーナ…会いたかった―…」
ゆっくり、ブルータスが近づいてきて
その、腕の中に
あたしを閉じ込める。
もう、酔いはとっくに醒めているはずなのに
鼻に飛び込んできた久しぶりのムスクの香りに、頭がクラクラした。
「―――…やめて…ブルー…」
熱い抱擁の前に
抵抗の言葉は、意味を成さない。
――… 一番嘘つきなのは、あたしだ。
「あたしを、どうするつもり―…?」
そして、とびきりの甘い誘惑を
ブルーは口にする。
「…ぼくと、一緒に…来ないか?」
「――… それ、どういう…」
揺れる波のような青い瞳に自分を映しながら
訊ねようとした、その瞬間
にわかに後ろで扉をバタン!と開く大きな音がした。
「アオチュリーナ!!!危ない!!そいつから、離れろ!!」
慌てて振り向くと、そこには
ポッコラ隊長、ニャンニャン、そしてミュウミュウが立っていた。



