「―…“この中に、わたしを裏切るものがいる。”」
ゆっくりと、姿を現す愛しい影。
「―…“主よ、まさか私のことではないでしょう?”」
今、まさにキリストを裏切らんとするユダの姿が描かれた“最後の晩餐”。
弟子たちが次々に否定の言葉を口にする中
主を売った対価の銀貨を片手に、確かにユダもそう言ったのだ。
そして、真実を知るキリストは
ユダの目をまっすぐに見て、言う。
「―…“いいや、あなただ。”」
ちょうど、彼が今
あたしを見つめているように――…
それは、あまりにも有名な
“最後の晩餐”の一幕。



