BLUE












―――…ほんとうに、この作品がターゲットなんだろうか。






怪盗は、なんでも盗む。

だから“思い込みは禁物”だ。




闇の中にくっきりと浮かぶその大作の

白い布をかけられた食卓を目に映しながら、ぼんやりと考え込んでいた。







夜の冷気と石の壁が

酔いを醒ましてくれるよう。























――― コツン ―――






靴の音が、響いた気がした。


一瞬、身体に緊張が走る。





「だ……誰っ!?」









誰、なんて。



聞かなくたって

靴音だけで分かってしまう自分が、嫌になる。







艶やかなバリトンが、高い天井に木霊した。