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乾いた夜の風は、
怪盗にも吹いているだろうか。
「ちょっと、アオチュリーナ、どこへ行くのよ?」
女2人で昼間から散々飲んで、いい感じにフワフワしてきた夜10時。
箍が外れていたのかも、しれない。
「ちょっと夜風に当たってくるわ。ミュウミュウは、そこで寝てていいわよ。」
「んー、いってら。変な男に捕まんないように!」
「―…いっそのこと、捕まっちゃいたいよ…」
何の気なく小さく呟いた一言が
まさか真実になるとは、このときは思いもしなかった。
アパートメントから出ると、まだ肌寒い夜の街。
妙にしんと冷えた頭を抱えて
まっすぐ目的地を目指して歩いた。
どうして、と聞かれても説明できない。
姿を消した恋人がそこにいるはずもないのに
でも、そこへ行けば…
彼の気配くらいは感じられるかもしれないと思ったんだ。
予告状に記された、その場所に―――…



