“何にする…?”
“――…ブルーハワイ”
あの夜
その、禁断の名を口にしてから
あたし達は、言葉をほとんど交わさなかった。
ただ、無言で触れ合った。
―――…瞳の中にお互いだけを、映して。
惹かれ合っていると感じるのは
ただの…あたしの――…願望…?
奪うか、奪われるか。
それは、ギリギリの、駆け引きだった。
「すき」と口にしたら、負けな気がした。
「すき」と言われたら、…それでも、負けな気がした。
だって、それが嘘だったとしても、あたしは「すき」と応えてしまうから。
だから、もう何も言えなかった。



