2011/03/13 in the private room
◆
―――…ない。
彼から、連絡が、ない。
「アオチュリーナ?」
「ミュウミュウ…」
何もする気が起きなくて、ベッドに突っ伏したままのあたしの部屋に、レモンチェッロ片手にミュウミュウがやってきたのは、日曜のお昼だった。
「なに、しおれてんのよ!怪盗の犯行予告は、明日なんでしょ?」
「ん……」
あたし、変だ…。
いつもだったら、予告状の謎が解けたら
すぐに戦闘態勢に入って準備万端整えて…ワクワクしながら、待ち受けているのに…
(そして毎回見事にお宝は奪われるのだが)
今は、何もする気が起きないなんて…。
「オトコに振られたくらいで、落ち込んでんじゃないわよ。ここをドコだと思ってんの!?イタリアよ?ラテンよ?百花繚乱、恋せよ乙女じゃないの!!」
「だれが、振られたのよ?!」
「へっ…?あの色男に、振られたんじゃないの?」
「違うわよ…まだ…」
「“まだ”って…アオチュリーナ…相手は、敵だよ?どう考えても、騙されてんのよ!?あんた…」
――…ミュウミュウだけには、話した。
彼女はライバルだけど―…一番近くにいる、親友でもあるから。
ひとりで抱え込むには、あまりに辛かったから。



