歩斗side

蓮だけを誘って帰ったのにはわけがあっ
た。
まぁ…相談ってやつだ。

 「んで?今日どーしたんだよ?」
 
 「…野中先輩が愛華に嫌がらせしてた
  みたいなんだよ。」

 「あー。やっぱり。」

幼なじみの蓮はいつも冷静で、勉強も運
動もなんでもできる完璧なヤツ。
しかも、男のオレから見てもカッコイイ
から女子からも男子からも支持率は高い


 「やっぱりって…なんだよ、それ。」

 「…中体連の地区予選前に、愛華のシ
  ューズがなくなったことあっただろ
  ?
  あれ、野中先輩がゴミ箱に捨ててる
  とこ見たんだよね。」

…そういえば、そんなこともあったな…

愛華は泣きそうな顔で学校や部室を探し
たりしてた。
愛華は物を大切にするヤツだから、シュ
ーズにもそれなりの愛着があったはずだ。

 「マジ許せねぇ。」

 「でも、話はつけてきたんだろ?」

蓮がオレの肩をたたいてそう言った。
オレはそれに答えるように笑ってみせた。

 「まあね。
  …それが吉と出るか凶と出るかはわ
  かんねぇけど…。」

 「大丈夫だろ?多分。
  歩斗がそんだけ愛華のこと愛してる
  んだからさ!」

蓮はそう言ってニヤリと笑った。