「オレの言った通り!」

歩斗は勝ち誇ったように笑っている。

 「あ、城田君のことは言ってないから覚悟しておいたほうがいいよ!」

 「え?ちょ…マジで?」

さっきまでのあの笑顔が嘘のように歩斗の顔には不安の色が出始めた。

 「うん。じゃ、頑張ってね!」

 「またあとでね!歩斗!」

あたしは歩斗に満面の笑みで手を振ってやった。

 「2時間目、数学だよ。」

 「あー…。計算とか頭使う…。」

あたしと優奈はとりあえず職員室に向かった。

一応、遅刻ということになっているので先生に報告しなければいけない。

 「失礼します。」

担任の野田先生がちょうど出てくるところだったので、あたしは遅れた理由(嘘)を話した。

 「都大会もあるんだから、体調には気をつけろよ!」

 「あ、はい。失礼しました。」