「開会式を始めます。
  各チームごとに3コートに整列して
  ください。
  繰り返します…。」

放送がかかった時、皆が一斉にジャージやウィンドブレーカーを脱ぎだす。
開会式はユニフォームで出なくてはいけないからだ。

 「…いよいよだね…。」

日花梨先輩がごくりとつばを飲み込んだ。

 「…緊張してきました…。」

ゾクゾクする…。
早く…試合がしたい…!

 「桃林、急げよー。」

ラケットを取り出して、コートに足を踏み入れた時…。
あたしの中から何かがこみ上げてきた。

 「優勝旗、返還!」

去年の優勝、準優勝校が優勝旗、トロフィーの返還をすると、会場中から拍手が起きた。

1つ1つのことが…なんでだろ?
スローモーションみたいに見えて…。
だけど、時間が進むのは早くて…。

 「宣誓!
  我々、選手一同は…」

気づいたらもう選手宣誓が行われていた。

今年の当番校は小百合第一中みたいだ。

 「…愛華。」

 「え?はい。」

日花梨先輩があたしに耳打ちをした。

 「優勝…しようね。」

 「もちろん…。」