「ついに来たね。」

 「…ですね。」

去年の雪辱を思い出す…。
このコートであたしと日花梨先輩は大庭さん達に負けたんだ。

 「なにシケた顔してるんだよ!」

 「…歩斗。」

歩斗の表情は試合を楽しみにしているような表情だった。

 「楽しまなきゃ損だろ!?
  な、蓮?」

 「…そうだな。
  オレ達のテニスをすればいいんだか
  らさ。」

蓮は選手としてこのコートに来るのが初め
てだからか、少し緊張しているようにも見えた。

 「お前らー、こっちこっち!」

藤本先生が本部の近くのベンチで呼んでいる。
ここのベンチだと、どこのコートも見ることが出来る。
先生もいい場所を見つけたな…。

 「おはようございます!!」

あたし達が一斉に挨拶をする。
出場する人数は少ないけど、元気だけはどこにも負けない自信がある。

 「おはよう!
  これが対戦表な。」

…中シードか…。
1回戦目は2年生ペア…。
そこの試合もやっぱり油断は出来ない。

 「男子は団体の出場があるので、9時から
  2コートに。」

今日は団体戦がメインなので、あたしと日花梨先輩は偵察に来ている。