「純情そうな顔しちゃってさ。どうせ飽きたら捨てられんのに」


………っ。

独り言を言っといて自分で焦る。

背後を振り向いても誰も居ない。居る筈もない。

ここは俺だけの楽屋なんだから。


それから気付く。
6畳くらいしかない狭さに。

机や椅子が並んでるところを見ると、大方会議室だろう。


「けっ、ショボい仕事」


いくら俺が”中谷レン”の弟だからって言っても、控室は一般的。

あいつのは馬鹿みたいに広いのにな。

こういうとこで差を見せつけられんだよ。


「…んあ……ダル…」


そういやあのコ、俺の事知らなかったな。


”中谷レンの弟”を知らないなんて、それでもあいつのオンナかよ。