ひんっっっ!
だから耳はやめてください。
「姫華……」
いつの間にやら腰にまわされたカインの手に力が入った。
そして、誰だかわからないくらいに哀愁漂う切ない声で名前を呼ばれる。
っていうかね?
今、何気に呼び捨てにしたよね?
いつもの”ヒメっち”じゃなかったよね?
ヤバい。
おかしい。
絶対変だ。
いや、いつものユルい話し方も違和感が無かったわけじゃないんだけど。
今日………というより、ここに入ってから、余計におかしくなってない?
おかしいってゆうか、何て言うか。
キャラが180度違う。
「……姫華………」
もう一度あたしの名前を口にする。
あたしは脈が早くなってる手にギュッと力をいれた。

