………そんなことよりも。
「ねぇ……あいつ、上手いの?」
上げていた腕を下ろされていく。
締め付けられてた手首は、ゆっくりとその力が抜けて。
「……んっ……」
手首から肩にかけて、ゆるゆると滑らせるカインの指先は、しなやかで、やっぱり蓮と同じでキレイだな…。
って、同じ事言わせないでよね。
耳っ!
耳元で言うんじゃないわよ!
今気が付いたんだけど、あたしって多分”耳”、弱いんだね。
思わぬところで自分の弱点発見だよ。ありえない
ホント。
ありえないよ。
そんなトホホなあたしに追い討ちをかける、暗黒に瞳を染めたカイン。
そして
今度は
ふっ、と耳に息を吹きかけてきやがった。

