あいつは大学進学と同時に突然一人暮らしを始めた。
連絡先を交換することも無かった俺達。
引越を期に、顔を会わすことは一切無くなった。
只の一度も。
けど、俺の親とあいつの親は繋がりがある。
親父が切らない限りはずっと。
そのお陰でどうしているのかという報告は耳に入っていた。
そして何年経っても変わらず耳に入る、そんなあいつの噂。
その大学時代に起業したIT会社で、瞬く間にのしあがったあの男。
たった半年で年商5億を超えた。
それから手広く事業を始め、3年経った今じゃ、その収入は算出するのも恐ろしいくらいらしい。
『緋崎の息子は末恐ろしい』と、親父が溢していたのを記憶している。
全世界にその名を馳せる親父が。
そのくらいあいつもキレる男だということ。

