足早に向かうのは控室ではなく、ホテル。


そう、姫華を招き入れたあの。



「なぁ、名波……マジで俺いつ帰れんの?」


滑り込んだ車内で、いつもの如く名波に相談。

専ら彼は愚痴を聞く専門だが。


左ハンドルを器用に操りながら、ルームミラー越しに目が合うと少し眉を下げながら笑った。


「俺も教えて欲しいくらいだぜ、あの監督も何日延長すりゃ気が済むんだか」


敏腕マネもお手上げ、か。


「なんとかしろよ」


「はぁ~、それができりゃ苦労しねぇし。でも、ま、蓮の英語力がパワーアップしていいじゃん」


「んなもんどうでもいいし」


「ははっ!まぁ初めから蓮はペラペラだしな!それより日本が恋しいか。いや、蓮はヒメちゃん限定だったな」