「まぁまぁ、カイくんも桜原さんも落ち着いて。騒ぎも収まったみたいですし、とりあえず出ましょう」
と、あたし達をたしなめる、ごく普通のお姉さま。
ここがカインの控室ってこと忘れてた。
大声出しちゃったから、会話丸聞こえじゃないのさ。
ハズカシイ;
「………ハイ、スイマセン。ありがとうございます…」
小さくなって謝るあたし、一応芸能人。
紺のパンツスーツをビシッと着こなす、ショートカットのお姉さんは、黒革のバックに書類を抱えていて。
さっきの訂正。
普通よりか、キャリアウーマン的な感じだね。
スタッフかな?
それともデパートの偉いサンとか?
どっちにしても、邪魔ってことよね。
あたしは下ろしていたヒップバックを持って、
「じゃあね、カイン。お仕事頑張って!」
そう言って立ち上がった。

