つうかさぁ……。


あいつら絶対”あのコ”狙ってんじゃん。

でも、なんで?


どう見たって目立ってねぇし。
それどころか、俺のファンじゃねぇじゃん。



「ハッ…、気にしすぎか」




バックヤードに入ろうと、体を捻りかけたその時。


視界の端に映ったままのミルクティ色がぐらついた。



ヤベッ







そう思った時には既に人をかき分けて”あのコ”の側まで走っていた。


「きゃー!」

悲鳴を上げてベタベタと体に触れてくる無数の手を避けて。



くせぇ。

どんだけニオイ振り撒きやがんだ。


色んな匂いが混ざって胸焼けしそう。



「ちょっとゴメンっ!」





”あのコ”がコケる寸でのところで腕を思いきり伸ばした。