掃き馴れない高いヒールのサンダルが、素足に擦れて痛い。
早く座りたい一心で、片付けも終わってないのにその席へ足を引き摺る。
ギャル集団に目もくれず。
横を通りすぎようとした時…。
へ?
「マジもんじゃん!ねっ!ほら、あのコじゃん!?あのナナコスメのっ!」
腕を捕まれた所為で、体勢を崩してしまう。
っ!……と、危ないなぁ。
うまく立て直せたけど、ギャルはあたしの腕を持ったまま。
あの、その長すぎるネイルが食い込んで痛いんだけど。
「ねぇ!あんたそうっしょっ?スッゲェ!マジ~?超顔ちっちゃいんだけどぉ~」
「ナツコがでかいだけでしょうが~」
「はぁ~?んなわけないし~。っていうか~、なんでこんなとこいんの~?あ、まさかカイくんと一緒に出ちゃったりすんの?」
……五月蝿いなぁ。
そんな大声で話さなくても聞こえるよ。
ほら、あんたの所為で皆見てるじゃん。
しかもカイくんてダレ?

