あたしは、その辛さが痛いほどわかるのに。
開を苦しめることしかできない。





「みきちゃん、おはよっ」


「おはよっ」



あっ、私。うまく笑えてない。



「兄貴、降りて。」


「はいはい、あー走んなきゃよかった。だるすぎる…」


「どんだけもやしっ子だよー!!」

「男としてだらしねぇー」



あたしたちにボロクソ言われる健都。







「はい、みきちゃん!乗って?」


「え、えぇ?!」



そんな満面な笑みで言われましても…
健都は先、歩きはじめちゃうし。



「いいから!乗るっ!!」


「…は、はい」











「じゃ、兄貴、お先!」


なんとなく健都の顔見るのが気まずくって。
顔を下げたまま健都の横を通りすぎた。







大きな背中。
こないだまで同じ身長だったのにな。




「みきちゃん?」





「ん?」










「ごめんね」









「え…?!なにが!」








「…みきちゃんを困らせて。」




「…それは」






「みきちゃんはね、俺に頼まれごとすると断らないじゃん?



今回も、すぐ、OKしてくれるかなって。





正直、思ってた。」





「…うん」




「でも、……みきちゃんが


兄貴のこと好きな気持ちは…




やっぱそんな簡単にケリつけられるもんじゃないよね…」



「……うん」




いつもの駅までの風景、
なんだか、すべて別のもののようで。
隣にいる人が違うだけでこんなにも世界は違う。