ただ君だけを想う。

座ることはせず、フェンスに二人とも寄り掛かる。


先に沈黙を破ったのは、拓海くん。


『祐樹と、付き合うことになったんだって?』


「…柏木くんから聞いたの?」


『いや、愁から。』


「………っ!!?」


当然柏木くん本人から聞いたんだと思いつつもそう聞いたのに、拓海くんから出た名前に驚きが隠せなかった。


「愁ちゃん、知ってたんだ…」


『祐樹からそうメール来たって言ってたけど。』


そこで不思議に思う。


拓海くんは愁ちゃんから聞いただけで、柏木くんからは言われてないみたいだった。


何故柏木くんは拓海くんにもメールしなかったんだろうか。


でもそんなことより気になってしまうのは、


「愁ちゃん、何か言ってた…?」


もうフラれたのに、私が気にすることじゃないのに、どうしても気になってしまった。


『特には。』


「そっか」


でもやっぱり聞かなければ良かったと後悔をした。


私のことなんか、気にしてる訳がない。


「拓海くんには、自分から報告しようと思ってたのにごめんね。」


言おうと思いながらもどう言っていいかわからなくて悩んでいたら、一週間も経っていた。


そう言えば、拓海くんは私の頭を軽く叩いただけだった。


「拓海くんには感謝してる。」


『お、やっと俺の良さに気付いた?!』


「それはないかな。」


『なんだとー!?』


暗くならないようにとわざと明るく言ってくれる拓海くんも、やっぱり優しい人だ。


拓海くんは何も聞かず何も言わずでいてくれた。